9月1日は「防災の日」です。

毎年この時期になると、防災グッズを確認したり、避難場所について家族で話し合ったりする方も多いのではないでしょうか。

そして今年、2026年は、和歌山県に大きな被害をもたらした「昭和南海地震」から80年という節目の年でもあります。

南海トラフ地震という言葉をニュースなどで耳にする機会は多くなりましたが、実は今から80年前、和歌山県は実際に南海トラフ沿いで発生した巨大地震に襲われています。

今回は防災の日を前に、昭和南海地震の記録を振り返りながら、地震への備えについて考えてみたいと思います。

80年前の和歌山を襲った「昭和南海地震」

1946年(昭和21年)12月21日、午前4時19分。

和歌山県南方沖を震源とする、マグニチュード8.0の巨大地震が発生しました。

「昭和南海地震」と呼ばれるこの地震です。

まだ多くの人が眠っている早朝に発生した地震は、和歌山県だけでなく、近畿・四国を中心とした広い地域に甚大な被害をもたらしました。

全国では死者・行方不明者1,443人。

和歌山県でも、死者195人、行方不明者74人、負傷者562人という大きな人的被害が発生しました。

住宅にも大きな被害があり、県内では全壊969戸、流失325戸、焼失2,399戸、さらに14,102戸が浸水したと記録されています。

地震のあと、和歌山沿岸を襲った大津波

昭和南海地震で特に大きな被害をもたらしたのが、地震に伴って発生した津波でした。

和歌山県の記録によると、県北部では地震発生から40分~1時間ほど後に最初の津波が到達した地域が多かった一方、県南部の沿岸では、地震からわずか数分後に津波が押し寄せた地域もありました。

しかも津波は一度ではありません。

少なくとも3回以上の大きな波が押し寄せ、地域によっては第3波が最も大きかったとされています。

記録されている津波の高さを見ると、

白浜 6.5m
印南川西岸 5.8m
袋港 5.5m
海南 3.5m
和歌山市 2.0m

など、和歌山県の広い範囲で津波が観測されています。

現在では観光地として多くの人が訪れる白浜にも、80年前には6mを超える津波が押し寄せていたのです。

串本、由良、海南、新宮……各地に残る被害の記録

昭和南海地震の記録をたどると、県内各地で起きた被害の様子も残されています。

串本方面では津波による浸水が激しく、道路上でも1.5mに達した場所がありました。

由良町では、当時の総戸数1,115戸のうち594戸が浸水。死者17人、行方不明者2人、負傷者19人という被害が出ています。

低地の多かった海南市でも多数の住宅が浸水しました。

一方、新宮市では地盤が軟弱だったことから多くの建物が倒壊し、さらに地震後には大規模な火災が発生。2,399戸が焼失し、8,300人が被災したと記録されています。

巨大地震がもたらす被害は、「建物が揺れて壊れる」だけではありません。

津波、火災、浸水、地盤の被害などが重なることで、被害がさらに大きくなることがあります。

昭和南海地震は、そのことを私たちに伝える災害でもあります。

南海トラフの巨大地震は、過去にも繰り返されてきました

南海トラフ沿いでは、昭和南海地震だけでなく、過去にも繰り返し巨大地震が発生しています。

和歌山県に大きな被害をもたらしたものだけでも、

1707年 宝永地震
1854年 安政東海地震・安政南海地震
1944年 昭和東南海地震
1946年 昭和南海地震

などがあります。

興味深いのは、昭和南海地震のわずか2年前、1944年に「昭和東南海地震」が発生していることです。

また1854年には、安政東海地震の約32時間後に安政南海地震が発生しました。

南海トラフ沿いの巨大地震は、同時あるいは時間をおいて連続して発生した例が過去にあるのです。

そして現在、政府の地震調査研究推進本部は、南海トラフで発生するマグニチュード8~9クラスの地震について、今後30年以内の発生確率を「60~90%程度以上」とする評価を示しています。

地震が「いつ」起きるかを正確に予測することはできません。

だからこそ、何も起きていない今のうちに備えておくことが大切です。

「火災保険に入っているから大丈夫」と思っていませんか?

ここで、保険代理店としてぜひ知っておいていただきたいことがあります。

一般的な火災保険では、地震・噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害は、基本的に補償されません。

たとえば、

地震の揺れで家が倒壊した
地震によって火災が発生し、家が焼けた
津波によって住宅や家財が流された

といった損害に備えるための保険が「地震保険」です。

地震保険は単独で契約するものではなく、火災保険とセットで加入する仕組みになっています。

また、地震保険の保険金額は火災保険の保険金額と同額ではありません。

原則として火災保険金額の30%~50%の範囲で設定し、限度額は建物5,000万円、家財1,000万円となっています。

地震保険は、住宅を完全に元通りに建て直すためだけの保険というよりも、地震によって大きな被害を受けたあとの生活再建を支えるための保険という性格を持っています。

防災の日をきっかけに「わが家の備え」を確認してみませんか?

昭和南海地震から80年。

80年と聞くと遠い昔の出来事のように感じるかもしれません。

しかし、昭和南海地震が発生した1946年から現在までの80年間は、南海トラフの長い歴史から見れば、決して特別に長い時間ではありません。

地震そのものを防ぐことはできません。

でも、被害を少しでも減らすためにできることはあります。

家具は固定できているか。
非常食や飲料水は準備できているか。
家族との連絡方法や避難場所は決まっているか。
自宅や職場のハザードマップを確認しているか。

そして、今加入している火災保険に地震保険が付いているか。建物だけでなく家財にも地震保険を付けているか。

9月1日の「防災の日」を前に、一度確認してみてはいかがでしょうか。

普段はなかなか考える機会のない「もしも」のこと。

昭和南海地震から80年という節目の今年だからこそ、家族で防災について話し合い、保険も含めた備えを見直すきっかけにしていただければと思います。